末梢血好酸球の肺血管内皮細胞への接着段階におけるロイコトリエン拮抗薬の効果
野木村 真奈美 永田 真 須谷 顕尚 齋藤 圭子 坂本 芳雄
〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38 埼玉医科大学第2内科呼吸器科
シスチニル・ロイコトリエン拮抗薬は喘息気道での好酸球集積を抑制するが,その機序は不明な点が多い.末梢血中好酸球の血管内皮細胞への接着反応は,好酸球が炎症気道に集積する上での初期段階である.本研究では,ロイコトリエン拮抗薬がこの過程を修飾するか否かについて検討した.ロイコトリエンD4による好酸球接着と遊走を特異的にブロックする実験条件下で,ロイコトリエン拮抗薬プランルカストは好酸球のresting,あるいはIL-4+TNF-α刺激肺血管内皮細胞への接着反応を修飾しなかった.同様に,プランルカストは無刺激,IL-5またはFMLP刺激による好酸球接着反応を修飾しなかった.プランルカストはIL-4+TNF-α刺激による肺血管内皮細胞上の接着分子群の発現も修飾しなかった.ロイコトリエン拮抗薬の好酸球浸潤抑制作用は,好酸球の血管内皮細胞への接着段階を介さないと推定された.
接着分子 シスチニル・ロイコトリエン 血管内皮細胞 好酸球 ロイコトリエン受容体拮抗薬
Received 平成14年2月13日
日呼吸会誌, 40(12): 919-924, 2002