日本人のスパイログラム基準値を用いた身体障害者福祉法による呼吸器機能障害判定
中村 雅夫1) 高橋 幸成1) 大類 孝2) 山谷 睦雄2) 久保 裕司2) 沼崎 宗男2) 佐々木 英忠2)
〒321-2523 栃木県塩谷郡藤原町高徳632 1)珪肺労災病院呼吸器内科 〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1 2)東北大学医学部 老年・呼吸器内科
身体障害者福祉法によって呼吸機能障害判定が行われているが,障害判定基準値をBaldwinの予測式を用いている.しかし,Baldwinは欧米人であり,65歳までの基準値である.日本呼吸器学会は日本人のスパイログラムの基準値を発表したので,本稿では呼吸機能障害判定を日本人の基準値を用いて判定した.じん肺患者,肺線維症,肺気腫患者において1級,3級,4級の判定を比較したところ,日本人の基準値を用いた場合,Baldwinより約10~20%呼吸機能障害判定者が増加した.従来,10~20%の対象者は判定されなかったと考えられ,今後,欧米人の基準値よりも日本人の基準値を用いて判定するべきと考えられる.
スパイログラム Baldwinの基準値 日本人の基準値 呼吸機能障害
Received 平成14年5月8日
日呼吸会誌, 40(12): 925-928, 2002