サルコイドーシスに合併した特発性血小板減少性紫斑病の治療中に侵襲型肺アスペルギルス症を発症した1例
中野 貴子 福山 聡 井上 孝治 井上 博雅 萩本 直樹 藤田 昌樹 桑野 和善 原 信之
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
症例は54歳,女性.33歳頃より霧視が出現し,皮膚生検によりサルコイドーシスと診断され当科外来にて経過観察されていた.53歳時より体重減少,労作時呼吸困難が出現.54歳時より胸部X線写真にて左中肺野に新たな浸潤影が出現したため当科入院.可溶性IL-2リセプター高値と,縦隔肺門リンパ節,後腹膜リンパ節腫脹のため,サルコイドーシスの増悪あるいは悪性リンパ腫が疑われた.左中肺野の浸潤影は経気管支肺生検により巨細胞が,後腹膜リンパ節生検の結果,非乾酪性肉芽腫が認められ,サルコイドーシスの増悪と診断した.その後,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を発症したためステロイド治療を開始し,血小板の増加を認めたが,侵襲型肺アスペルギルス症を合併し,呼吸不全のため死亡した.サルコイドーシスとITP,及び肺アスペルギルス症の合併は貴重な症例と考え報告する.
サルコイドーシス 特発性血小板減少性紫斑病 侵襲型肺アスペルギルス症
Received 平成14年3月1日
日呼吸会誌, 40(12): 945-949, 2002