防風通聖散による薬剤性肺炎の1例
松島 秀和1) 高柳 昇1) 生方 幹夫1) 徳永 大道1) 森 朱夏1) 佐藤 長人1) 倉島 一喜1) 柳沢 勉1) 杉田 裕1) 河端 美則2) 金沢 実1)
〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696 1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科 2)同 検査部
症例は65歳の男性.肥満,便秘の治療として防風通聖散を内服約1カ月後に咳,発熱,呼吸困難が出現し,当センターに入院した.気管支肺胞洗浄液でのリンパ球比率の増加,経気管支肺生検にて薬剤性肺炎に矛盾しない所見が得られたこと,防風通聖散の内服中止のみにて呼吸不全と胸部X線陰影の改善を認めたことより,防風通聖散による薬剤性肺炎と診断した.防風通聖散に対するリンパ球刺激試験は陽性であった.防風通聖散による薬剤性肺炎の報告は本例が1例目である.
Received 平成14年5月29日
日呼吸会誌, 40(12): 955-959, 2002