Mycoplasma pneumoniaeとChlamydia pneumoniaeの重複感染と考えられた肺炎症例の臨床的検討
佐々木 昌博 佐野 正明 佐藤 一洋 福井 伸 泉山 典子 伊藤 武史 鹿島 正行 加賀谷 学 三浦 傅
〒010-8543 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部附属病院第二内科
成人ではMycoplasma pneumoniae(M. pneumoniae)とChlamydia pneumonia(C. pneumonia)の重複肺炎の報告は少ない.今回我々はM. pneumonaeとC. pneumoniaの重複感染と考えられた肺炎症例を経験したので報告する.症例は16歳男性,乾性咳嗽と発熱を主訴として受診したが前治療としてセファム系抗生剤が投与されていた.生化学検査で軽度の肝機能障害がみられた.M. pneumoniaeの診断はマイコプラズマ血清抗体価を粒子凝集反応法によるペア血清で,C. pneumoniaeの診断にはELISAによるIgMとIgG特異抗体の測定によって行った.治療はクラリスロマイシンが奏効し順調な経過で症状は軽快し退院となった.M. pneumoniaeとC. pneumoniaの重複感染に関としては,一つの感染が他の感染を容易にしているのか,あるいは本当に両感染源が起因菌となっているのか明らかではない.今後複数菌感染に関して症例を重ね検討を要するものと考えられた.
Mycoplasma pneumoniae Chlamydia pneumoniae 重複感染
Received 平成14年6月12日
日呼吸会誌, 40(12): 960-964, 2002