Evans症候群に合併した肺原発悪性リンパ腫の1例
〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮 高知医科大学第三内科
症例は77歳女性.Evans症候群の治療経過中に両側性に拡大する胸部異常陰影のため当科に入院となった.64歳時にEvans症候群と診断されて以来,少量プレドニゾロン治療を間欠的に受けていた.CT検査では肺腫瘍および肺門リンパ節腫脹を認めたがその他に腫瘍は認めなかった.Gaシンチでは肺病変に一致して集積を認めた.肺浸潤影の経気管支肺生検の結果,B細胞性悪性リンパ腫が認められ,肺原発悪性リンパ腫と診断した.CHOP療法を行い部分寛解が得られたが,合併していたC型肝硬変の悪化に伴う食道静脈瘤からの出血で8カ月後に死亡した.免疫異常により自己免疫性溶血性貧血や特発性血小板減少性紫斑病の経過中に悪性リンパ腫を合併することは報告されているがEvans症候群に肺原発悪性リンパ腫が合併することは稀であると考えられる.
Received 平成14年7月15日
日呼吸会誌, 40(12): 965-969, 2002