多発結節影が亜急性に進行しリング状陰影に変化したサルコイドーシスの1例
藤井 雅人1) 井田 雅章1) 榎本 紀之1) 野木村 宏1) 中村 祐太郎2) 千田 金吾2) 中村 浩淑2)
〒421-0302 榛原郡榛原町細江2887-1 1)榛原総合病院呼吸器科 〒431-3192 浜松市半田山1丁目20番1号 2)浜松医科大学第2内科学講座
症例は40歳,男性.2000年9月に検診で胸部X線上,右上葉に結節影を指摘され受診した.経気管支肺生検を行ったところ非乾酪性類上皮肉芽種を認め,サルコイドーシスと診断した.経過観察中に結節影は亜急性の経過で全肺野に増加,増大し,その後リング状陰影に変化していった.2000年12月,他疾患の可能性を考慮し胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織学的に帯状に分布する著明な気腔内への器質化浸出物の存在を認め,周囲の胞隔は肥厚していた.その後,陰影は無治療で急速に消失した.リング状陰影はBOOPによる陰影を反映しているものと思われ,またサルコイドーシスとBOOPの関係が興味深い症例であった.
Received 平成14年8月20日
日呼吸会誌, 40(12): 970-974, 2002