びまん性スリガラス状陰影を呈したnon-Hodgkin lymphoma肺浸潤の1例
佐伯 幸子1)2) 副島 佳文2) 下田 照文2) 松瀬 厚人1) 河野 茂1)
〒852-8501 長崎県長崎市坂本1丁目7番1号 1)長崎大学医学部第2内科 2)国立嬉野病院呼吸器科
症例は82歳女性.全身倦怠感を主訴に近医を受診し胸部X線検査と胸部CTで右中葉,左舌区,両側下葉にスリガラス状陰影を認め,肺炎として抗菌薬を投与されるも軽快しないため,当科へ入院となった.8日後の胸部CTでは,両側下葉のスリガラス状陰影はair-bronchogramを伴う浸潤影に変化していた.気管支肺胞洗浄液の細胞診はclass Iで,一般細菌と抗酸菌は認められなかったが,腹部CTで後腹膜に多発する腫瘤性病変が認められた.右鼠径部のリンパ節生検を施行し,病理組織学的にnon-Hodgkin lymphoma,diffuse,medium-sized cell type,B cell typeと診断した.しかし,高齢で,全身状態不良のため積極的な治療は行わず,死亡した.剖検にて,左副腎,あるいは左副腎周囲のリンパ節を原発とするnon-Hodgkin lymphomaと診断された.肺は,これらの腫瘍細胞が間質を主体に浸潤し,一部は肺胞腔内にも胞巣状に増生しており,胸部CTの所見はそれらを反映したものと考えられた.
悪性リンパ腫 非ホジキンリンパ腫 すりガラス状陰影 air-bronchogram
Received 平成14年8月21日
日呼吸会誌, 41(1): 44-47, 2003