好酸球・リンパ球の動向とその治療への応用
秋田大学臨床検査医学講座
アレルギー性炎症には好酸球,肥満細胞といった細胞が非常に重要な役割を果たしている.その一方で,免疫反応をつかさどる細胞として,リンパ球,とりわけT細胞やB細胞といったものがアレルギー反応では重要な役割を果たしている. 近年,Th1/Th2という概念が提唱されその研究はめざましく進歩している.Th細胞は産生するサイトカインという物質の違いでTh1細胞とTh2細胞の二つに分けられている.とりわけTh2細胞がアレルギー性炎症には重要であるとされている.Th2サイトカインはオートクライン,パラクラインの経路でリンパ球自身に作用しTh2へのシフトを誘導する.また上皮細胞,内皮細胞に作用し好酸球を誘導するため,ケモカイン産生接着分子の発現を行う. 従って,アレルギーの治療ターゲットとしては(1)ケモカイン,ケモカインレセプター(2)好酸球表面接着分子(特にβインテグリン)(3)Th1の誘導,というものが考えられる. 今回,好酸球・リンパ球の動向をTh1/Th2という観点から示し,その治療への展開を最近の見知をふまえて紹介する.
日呼吸会誌, 41(9): 589-594, 2003