外科的に皮下移植されたLewis肺癌の増大および肺転移にシメチジンが及ぼす影響
菅 理晴1)2) 森田 理一郎1) 金子 公一1) 許 俊鋭1)
〒350-0451 埼玉県入間郡毛呂山町大字毛呂本郷38 1)埼玉医科大学心臓血管外科呼吸器外科 〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-1 2)現:国立循環器病センター研究所再生医療部
Lewis肺癌肺転移モデルを用い,経口シメチジンが皮下移植した腫瘍の増大および肺転移に及ぼす影響を検討した.以下の3群を設定し,Lewis肺癌小切片をC57BL/6マウスの皮下へ移植した.CO群:無処置コントロール,LD群:シメチジン0.1 mg/mlを移植1週間前より飲水投与,HD群:シメチジン1 mg/mlを移植1週間前より飲水投与.移植後4週目の皮下腫瘍血管密度(/mm2)はCO:56±24,LD:88±16,HD:123±17で各群間に有意差を認めた(p<0.05).移植後6週目の皮下腫瘍重量(g)はCO:6.0±2.1,LD:7.9±1.2,HD:10.0±1.9,肺転移個数はCO:7.5±6.0,LD:17.0±3.0,HD:19.8±7.4で共にCO/HD間に有意差を認めた(p<0.05).本モデルの条件下では,シメチジンは皮下移植されたLewis肺癌の血管密度を増大させ腫瘍の成長や肺転移を促進すると考えられた.
Received 平成15年1月6日
日呼吸会誌, 41(9): 626-630, 2003