成人気管支喘息大発作におけるイソプロテレノール持続吸入療法の臨床的検討
永田 真1) 櫛谷 麻理子2) 杉田 茂1) 保谷 功3) 西 裕一1) 木村 功1) 坂田 憲史1) 坂本 芳雄4)
〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38 1)埼玉医科大学呼吸器内科 2)長岡西病院内科 3)保谷内科呼吸器科クリニック 4)湯河原厚生年金病院内科
気管支喘息大発作で,β刺激薬の間歇吸入,副腎皮質ステロイド薬,アミノフィリンの投与が充分に行われたが改善せず,治療抵抗性であった50例(平均年齢47.5歳,男性34例,女性16例)について,小児科領域に準じて心電図モニター下でl-体イソプロテレノールの持続吸入療法を試みた.これらの臨床経過と副作用についてretrospectiveに検討した.49例(98.0%)では明らかな副作用はなかった.81歳男性の1例で血圧上昇が認められたが投与中止により速やかに改善した.PaO2/FiO2ならびに換気不全例におけるPaCO2値は,各々開始2~4時間で有意に改善した.47例(94.0%)で臨床的改善が得られたが,2例(4.0%)では改善せずに気管内挿管・人工呼吸管理を余儀なくされた.本療法は厳重な管理下では成人喘息大発作に対しても安全に施行でき,治療抵抗性発作での治療の選択肢となりえると考える.
Received 平成15年1月6日
日呼吸会誌, 41(9): 631-635, 2003