気管支喘息が顕在化しなかったアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例
〒830-0011 福岡県久留米市旭町67番地 久留米大学医学部第1内科
症例はアレルギー性鼻炎を有する68歳女性.感冒様症状を契機に末梢血好酸球増多を指摘された.その後,左頸部腫瘤を認め,抗菌薬投与にて改善するも咳嗽は残存し,下腿浮腫が出現した.心電図異常,心拡大を指摘され,ステロイドを投与されたが両足底の違和感が残存するため入院となった.胸部画像所見はスリガラス様陰影を呈し,経気管支肺生検にて,間質に好酸球の浸潤を伴う肉芽を認めた.腓腹神経生検は肉芽腫性血管炎像を呈し,アレルギー性肉芽腫性血管炎と診断された.本症例は,肺機能が正常で,気管支喘息の既往を認めず,気管支喘息が顕在化しなかった稀なアレルギー性肉芽腫性血管炎であり,貴重と考え報告する.
アレルギー性肉芽腫性血管炎 抗好中球細胞質抗体 気管支喘息 アレルギー性鼻炎 多発単神経炎
Received 平成15年1月6日
日呼吸会誌, 41(9): 655-659, 2003