塩酸テモカプリル(エースコール®)による薬剤誘起性間質性肺炎の1例
北里 裕彦1) 池堂 ゆかり2) 山田 一彦2) 溝口 祐輔2) 星野 友昭1) 相澤 久道1)
〒830-0011 福岡県久留米市旭町67 1)久留米大学医学部第1内科 〒834-0034 福岡県八女市大字高塚540-2 2)公立八女総合病院呼吸器内科
症例は51歳女性.関節リウマチの加療中に併発した本態性高血圧症に対し塩酸テモカプリル(エースコール®)の投与を開始され,約3週間後より乾性咳嗽,労作時息切れが出現し,胸部X線写真およびCTにて両肺の網状・スリガラス状陰影を認めたため入院となった.気管支肺胞洗浄液中のリンパ球は73%(CD8陽性Tリンパ球93.3%)と著明に増加しており,CD4/8比は0.04と低値であった.病変部から施行した経気管支肺生検では間質性肺炎の所見を示していた.臨床経過および塩酸テモカプリルに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性を示したため,塩酸テモカプリルによる薬剤誘起性間質性肺炎と診断した.塩酸テモカプリル等のアンジオテンシン変換酵素阻害薬による薬剤誘起性肺炎の報告は非常に稀であり,本例は文献上国内2例目のものである.
塩酸テモカプリル アンジオテンシン変換酵素阻害薬 薬剤誘起性肺炎 薬剤リンパ球刺激試験
Received 平成15年2月15日
日呼吸会誌, 41(9): 660-665, 2003