骨シンチグラフィーにて腫瘍に異常集積を認めた肺癌肉腫の1例
朝比奈 肇1) 小倉 滋明1) 山本 宏司1) 菊地 英毅2) 田中 明彦3)
〒060-8638 札幌市中央区北11条西13丁目 1)市立札幌病院呼吸器科 2)北海道大学第1内科 3)市立札幌病院呼吸器外科
症例は68歳,男性.平成13年5月胸部異常陰影のため当科を紹介されて入院した.胸部CTでは右S10に直径4×6 cm大の辺縁明瞭で,石灰化を伴う腫瘍を認めた.骨シンチグラフィーでは腫瘍に一致した集積を認めた.腫瘍マーカーはSCCが5.9 ng/mlと軽度上昇していたが,CEA,NSE,シフラは正常であった.経気管支擦過細胞診,生検およびCTガイド下肺生検では確定診断は得られなかった.しかし,2年前の胸部X線では異常陰影は認められなかったことから,肺原発の骨肉腫を含めた悪性腫瘍の疑いで手術を施行した.切除標本では,腫瘍の大部分は骨肉腫で占められていたが,腫瘍の辺縁部分には扁平上皮癌を認めた.以上の所見より,扁平上皮癌と骨肉腫の組み合わせからなる肺癌肉腫と診断した.
Received 平成15年2月28日
日呼吸会誌, 41(9): 671-675, 2003