結核性大動脈瘤を呈した粟粒結核の1例
大山 眞一郎* 村山 尚子** 長谷川 吉則 中田 益美 旗智 幸政 坂東 憲司
〒530-0012 大阪市北区芝田2-10-39 大阪府済生会中津病院呼吸器内科 *現在 石川診療所 **現在 高雄病院内科
症例は68歳男性で,発熱と胸部HRCTの瀰漫性陰影のために入院となった.腹部CTで腎動脈分岐下より総腸骨動脈分岐部にかけ大動脈瘤を認めた.入院後発熱は自然に軽快したが,経気管支肺生検と骨髄液凝固組織診で非乾酪性肉芽腫を認めたために,粟粒結核と診断し抗結核化学療法を開始した.その後喀痰などの培養から結核菌が分離された.治療開始後胸部画像所見は改善したが腹部大動脈瘤は増大し,人工血管置換術を行った.大動脈瘤は周囲リンパ節の炎症が大動脈に波及し形成したと考えられた.術後化学療法を継続し,経過順調である.
Received 平成15年3月18日
日呼吸会誌, 41(9): 676-680, 2003