中枢型と閉塞型睡眠時無呼吸の鑑別におけるcardiogenic oscillationの有用性
川本 仁1)2) 山肩 満徳2) 神辺 眞之2) 倉岡 敏彦3) 宮村 勇雄4)
〒739-8521 東広島市鏡山1-7-1 1)広島大学保健管理センター 2)広島大学大学院医歯薬学総合研究科病態臨床検査医学 3)国家公務員共済組合連合会吉島病院 4)チェスト
気道壁を伝わる心原性脈波は,気道出口で心電図に同調する微細な気流としてとらえられる.我々はこの心原性脈波による気流(cardiogenic oscillation:以下,CGO)を睡眠時無呼吸の中枢型と閉塞型の型別判定に応用した.「脈波は気道閉塞,及びchoke pointが生じた場合,下流に伝播しない」ことより,中枢型無呼吸では気道閉塞,choke pointがないことよりCGOが認められ,閉塞型無呼吸ではCGOは消失していた.混合型無呼吸では中枢型無呼吸部の中途でCGOが消失し,中枢型無呼吸中に気道閉塞を来したと判断された.中枢型無呼吸が終了し呼吸努力を再開したが気道閉塞をきたしていた為に閉塞型無呼吸に続いたと考えられ,混合型無呼吸の病態がCGOの動態から把握できた.CGOは中枢型と閉塞型無呼吸の鑑別に有用であり,中枢型無呼吸中の気道閉塞をもとらえることができる.CGOは睡眠時無呼吸症候群のモニタリングとして有用である.
睡眠時無呼吸症候群 無呼吸型別判定 心原性気流 心原性脈波 気道閉塞
Received 平成15年9月26日
日呼吸会誌, 42(8): 724-729, 2004