気管支動脈塞栓術におけるIDC(Interlocking Detachable Coil)導入の有用性
石川 秀雄1) 木村 剛2) 大家 晃子2) 神谷 敦6) 井上 義一3) 鈴木 克洋3) 審良 正則5) 林 清二2) 河原 正明2) 岡田 全司3) 木村 謙太郎3) 井内 敬二4) 坂谷 光則2)
〒591-8555 堺市長曾根町1180 1)独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター循環器科 2)同 内科 3)同 臨床研究センター 4)同 外科 5)同 放射線科 6)かみたにクリニック
気管支動脈塞栓術(以下BAE)は,喀血に対する事実上唯一の有効な内科的治療である.塞栓物質としては,近年ファイバーコイルが主流である.しかし,最大径が6 mmまでで7 mm以上の太い血管に使えないこと,短い為多くのコイル留置を要し時間がかかること,コイルリリースのやり直しができないなどの欠点がある.我々は2002年4月より,Interlocking Detachable Coil(以下IDC)をBAEに用いている.IDC非使用群24例とIDC使用群26例を比較し,3カ月後の再喀血率がそれぞれ16.3%と7.7%と有意(p=0.035 Fisher's exact method)に減少しており,また手技時間も4.4±2.5時間と3.1±1.4時間と有意(p=0.044 unpaired t-test)に減少していた.IDCはBAEにおいて有用な塞栓コイルである.これは,IDCのBAEにおける有用性を示した世界で初めての報告である.
Received 平成15年11月28日
日呼吸会誌, 42(8): 730-736, 2004