横紋筋融解症を合併し,血清KL-6値が著明高値を呈したレジオネラ肺炎の1救命例
川合 右展1) 中島 宏和1) 澤口 博千代1) 東田 有智2) 中島 重徳1)
〒630-0293 奈良県生駒市乙田町1248番-1 1)近畿大学医学部附属奈良病院呼吸器・アレルギー内科 2)近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
症例は66歳男性,主訴は発熱.旅行先で入浴後翌日より40℃の発熱が出現し当科受診となった.胸部X線上多発性浸潤影を認め,重症肺炎と診断しメロペネム,エリスロマイシンを投与したが改善せず,レジオネラ肺炎を疑って,リファンピシンを追加投与したが,胆汁うっ滞型肝機能障害を生じたため中止した.同時に間質性陰影が出現し,KL-6値が3,545 U/mlと著増し,呼吸不全増悪,横紋筋融解症,および腎機能障害を認めメチルプレドニゾロン,補液,利尿剤の追加投与と抗生物質をシプロフロキサシンに変更し,これらにて改善した.経過中レジオネラ尿中可溶性抗原と血清レジオネラ抗体が陽性と判明し,重症レジオネラ肺炎と診断した.レジオネラ肺炎では,KL-6値が重症度と相関すると報告されているが,本症例のように著明高値を示した例で救命し得た報告はなく,極めて貴重な症例であると考えられる.
Received 平成15年8月25日
日呼吸会誌, 42(8): 737-742, 2004