後天性食道気管支瘻を合併した多剤耐性肺結核の1例
畠山 暢生1) 岡野 義夫1) 三木 真理2) 岩原 義人1) 中村 陽一3) 元木 徳治1) 大串 文隆1)
〒780-8077 高知市朝倉西町1-2-25 1)独立行政法人国立病院機構高知病院呼吸器科 2)同 アレルギー科 3)同 臨床研究部
症例は71歳男性.平成11年11月に背部痛にて当院外科を受診,食道造影にて中部食道に瘻孔を,また胸部X線にて左上肺野に粒状影および左胸水を認めた.抗菌薬の内服にて症状軽快したため,経過観察とした.平成12年8月より,発熱と湿性咳が出現し,喀痰培養にて結核菌が検出されたため抗結核化学療法を開始したが,症状の改善はみられなかった.その後,薬剤感受性検査にて多剤耐性結核と判明したため,抗結核薬を変更し約9カ月間入院加療を行い,症状の改善と瘻孔の閉鎖が認められた.肺結核に合併する後天性食道気管支瘻は比較的まれであり,多剤耐性結核に合併した例の本邦報告例はほとんどなく,化学療法により瘻孔の閉鎖が認められた点を含め貴重な症例であると考える.
Received 平成15年12月8日
日呼吸会誌, 42(8): 755-759, 2004