気管支喘息の経過中に発症した慢性好酸球性細気管支炎の1例
永田 忍彦 原田 進 若松 謙太郎 執行 睦実 加治木 章 北原 義也
〒837-0911 福岡県大牟田市大字橘1044-1 国立病院機構大牟田病院内科, 臨床研究部
62歳,女性.気管支喘息にて気管支拡張薬,吸入ステロイドにて加療中,喘息の診断から4年後に胸部X線,CT上びまん性小葉中心性粒状影が出現.末梢血好酸球数も増加.びまん性汎細気管支炎と診断されエリスロマイシンの長期投与が行われたが,喘息の診断から5年後に労作時呼吸困難出現,胸部X線写真上粒状影が増加.胸腔鏡下肺生検の結果,好酸球の浸潤を伴う細気管支壁の肥厚,細気管支周囲の肺胞隔壁や肺胞内への好酸球集積がみられた.ステロイドの内服を開始し,症状,画像所見共改善.最近本邦で好酸球性細気管支炎の2症例が報告され,本例はこれらと同一のものと考えられるが,これら2例は気管支喘息の合併はなく,本疾患と気管支喘息との鑑別が強調されている.本例では気管支喘息の経過中に本疾患が出現し,また好酸球性肺炎の所見もみられた.本例はこれら3疾患が相互に合併しうる可能性を想定させる症例として貴重と考えられる.
好酸球性細気管支炎 気管支喘息 好酸球性肺炎 細気管支炎 好酸球性肺疾患
Received 平成16年1月21日
日呼吸会誌, 42(8): 767-771, 2004