インフリキシマブ投与中に肺結核症を発症した関節リウマチの1例
加藤 清1)2)3) 谷口 ひとみ1) 大河内 明子3) 工藤 誠3) 川井 孝子3)
〒240-8585 横浜市保土ヶ谷区釜台町43-1 1)横浜総合病院内科 2)桐蔭横浜大学工学部医用工学科 3)横浜船員保険病院内科
症例は72歳男性.25年前より関節リウマチの診断を受け様々な免疫調整剤の投与を受けていたが,プレドニゾロン,メトトレキサートに加え2003年12月6日よりインフリキシマブの投与を受けていた.2004年1月21日より発熱があり,2月3日内科入院となる.入院時胸部X線検査と胸部CTで少量の右胸水と右肺野の空洞形成を伴う浸潤影を認め,ただちに抗結核薬による治療を開始した.インフリキシマブは関節リウマチ治療に初めて臨床応用された生物製剤であり,欧米で結核症発症が指摘されているが,本邦における危険度はさらに高いと考える.本邦ではこれまでにインフリキシマブ治療による結核発症の報告例はなく,呼吸器領域の重篤な有害事象と考え早期に提示する.
Received 平成16年2月25日
日呼吸会誌, 42(8): 782-786, 2004