慢性下気道感染症の急性増悪におけるQ熱の関与
沖本 二郎 木林 隆 三村 公洋 大和 健司 栗原 武幸 本多 宣裕 大崎 幸七 浅岡 直子 大場 秀夫
〒700-8505 岡山市中山下2-1-80 川崎医科大学附属川崎病院呼吸器病センター
慢性下気道感染症の急性増悪におけるQ熱の関与について検討を行った.2002年3月から,2004年10月までに治療を行った慢性下気道感染症の急性増悪80例を対象とし,Q熱の診断は,PanBio社のELISAキットを用いて行った.2例(2.5%)がCoxiella burnetiiのIgMが陽性であり,急性感染と診断した.76歳と82歳の気管支拡張症の女性で,猫や犬の繁殖期である6月と3月に発症した.76歳例は,Pseudomonas aeruginosaと,82歳例は,Haemophilus influenzaeとの混合感染であった.以上より,C. burnetiiは,慢性下気道感染症の急性増悪をきたす起炎菌の一つであり,それら症例はC. burnetiiと他の細菌との混合感染の多いことが示唆された.
慢性下気道感染症 気管支拡張症 Q熱 Coxiella burnetii
Received 平成17年1月31日
日呼吸会誌, 43(9): 497-501, 2005