クラリスロマイシンとブデソニドが有効であった好酸球性気道疾患を合併した黄色爪症候群の1例
〒430-8525 静岡県浜松市将監町25 1)浜松労災病院呼吸器科 〒431-3192 静岡県浜松市半田山1-20-1 2)浜松医科大学第2内科
症例は78歳男性で慢性の湿性咳嗽を主訴に来院した.身体所見にて黄色の肥厚した爪と下腿浮腫を認めた.胸部X線上,両側下肺野にtram lineを認め,胸部CTにて両側の気管支拡張症を認めた.副鼻腔X線写真にて右上顎洞の透過性低下および粘膜肥厚を認めた.黄色爪症候群および副鼻腔気管支症候群に伴う気管支拡張症の診断にて,クラリスロマイシン400 mg/日投与が開始され,症状は徐々に改善し始めたが,症状の改善が不十分であったため,気管支鏡検査が施行された.気管支粘膜生検病理組織像では,好酸球浸潤,基底膜の肥厚,粘膜の浮腫,杯細胞の過形成などの気管支喘息様の気道組織所見が認められた.ブデソニド800 μg/日およびサルメテロール100 μg/日の追加により,咳嗽,喀痰はさらに減少した.気道可逆性は認められなかった.本症例が好酸球性気道疾患を合併した黄色爪症候群の第1例目の報告であると考えられる.
黄色爪症候群 気管支喘息 副鼻腔気管支症候群 気管支拡張症 長期少量マクロライド療法
Received 平成16年12月27日
日呼吸会誌, 43(9): 508-512, 2005