血球貪食像を呈したMesalazineによる薬剤性胸膜炎の1例
山内 啓子1)2) 武田 博明1) 小林 謙太郎1) 渡邉 慶太郎1) 町田 穣1) 鈴木 博貴1)
〒990-8545 山形市沖町79-1 1)済生会山形済生病院内科 2)山形大学医学部器官病態統御学講座循環・呼吸・腎臓内科学分野
症例は25歳女性.血便のため当院に入院,潰瘍性大腸炎の診断でMesalazineの内服が開始された.軽快し外来経過観察となったが,内服開始2週間後に血便が再発.発熱,呼吸困難も伴ってきたため当院を受診,胸部X線上,両側胸水ならびに低酸素血症が認められ再入院.感染性胸膜炎を疑い,抗菌薬投与を開始したが症状は改善せず,胸水検査にてマクロファージが好中球を貪食している像が認められ,血球貪食像を呈した胸膜炎と診断し,その原因としてMesalazineが考えられた.Mesalazine中止後速やかに解熱した.自覚症状が強く,ステロイドを併用した.本例は,Mesalazineによる胸膜炎の発症機序を考える上で示唆に富む症例と考えられたため報告した.なおMesalazineによる胸膜炎は,我々が検索しえた限りでは本邦では4例目であった.
血球貪食症候群 メサラジン 薬剤性胸膜炎 胸水 炎症性腸疾患
Received 平成17年1月13日
日呼吸会誌, 43(9): 518-522, 2005