当院における結核集団感染の検討
高見澤 明美1) 岡田 光代1)2) 甘利 俊哉3) 久保 惠嗣2)
〒388-8004 長野市篠ノ井会666-1 1)JA長野厚生連篠ノ井総合病院呼吸器科 2)信州大学医学部第1内科(呼吸器・感染症内科) 3)甘利内科呼吸器科クリニック
1998年10月に長期入院中の患者が塗沫陽性の肺結核患者であったことを経験してから,当院では排菌者を診療した場合には結核症院内感染防止対策マニュアルに基づき積極的に定期外検診を行ってきた.それにも関わらず,2000年9月定期外検診で看護師1名が肺結核,11月看護師1名が結核性胸膜炎と診断され,病院内全職員,看護師家族および関係する入院患者等の健康診断・調査を行い,最終的に計5名発症,予防内服8名,経過観察8名の結核集団感染が発生するに至った.本事例を詳細に検討した結果,積極的に定期外検診を行うことで排菌のない比較的早期に感染発病者を発見できたと考えられ,定期外検診の重要性,感染を推定するために必要なベースラインのツ反の把握を含めた職員の健康管理,病院の構造設備と環境面での対策,保健所を中心とした行政との連携の重要性が再認識された.さらに当院の院内感染防止対策改訂に役立った.
Received 平成17年1月21日
日呼吸会誌, 43(9): 527-535, 2005