縦隔原発と考えられた髄外性形質細胞腫の1例
〒409-3821 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨大学大学院医学工学総合研究部内科学第2教室
症例は80歳男性.胸部X線写真,CTで6×9 cmの左前縦隔腫瘍を認め当科へ入院した.胸部CTで腫瘍は左主気管支へ浸潤し,気管支鏡検査で左主気管支の圧排狭窄と左上葉舌区の閉塞を認めた.左上葉舌区分岐部には腫瘍が浸潤し経気管支生検で大小不同の異型を伴う形質細胞増殖を認めた.免疫組織染色でIgA-κ鎖のモノクロナリティを認め骨髄穿刺,全身骨のX線検査で骨髄腫の合併が否定され髄外性形質細胞腫と診断した.検査成績ではIgA高値,蛋白電気泳動でIgA-κ型M蛋白陽性で形質細胞腫からの産生が考えられた.治療は放射線療法が奏効しIgAも正常範囲内に低下した.原発巣は67-Gaシンチが左前縦隔に強く集積し,治療後のCTで縮小した腫瘍が縦隔胸膜に対し胸膜外徴候であるtapering edgeを示し縦隔病変であることが示され縦隔原発と考えた.縦隔原発髄外性形質細胞腫は極めて稀な疾患であり報告する.
Received 平成17年2月14日
日呼吸会誌, 43(9): 536-540, 2005