原発性肺癌における硬膜内脊髄転移の臨床的特徴
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原発性肺癌における脊髄転移の臨床的特徴を明らかにするため,1999年4月から2002年3月の間にMRI検査で硬膜内転移と診断した肺癌患者9例について検討を行った.組織型は小細胞癌が7例と多く,3年間の小細胞癌患者49例の14%に相当した.8例が脳転移の照射後であり,脳転移のない1例は予防的全頭蓋照射例であった.脳照射から脊髄転移診断までの期間は116日~708日であった.初発症状は下肢筋力低下が5例と多く,7例は2週間前後で脊髄横断麻痺を来たした.7例が髄内,2例が硬膜内髄外の転移であり腰膨大部に好発した.全例に脊髄照射を施行,4例に化学療法を併用した.9例中4例で神経症状の部分・完全寛解と転移巣の縮小・消失を認めた.小細胞癌患者の脳照射後には脊髄転移が少なからず発症することを念頭において対応することによって,より早期の診断が可能となり症状改善効果が高まることが期待される.
Received 平成17年2月16日
日呼吸会誌, 43(9): 541-546, 2005