再燃時にPR3-ANCA陰性であったWegener肉芽腫症の1例
谷口 浩和1) 本田 利栄子1) 安達 康子1) 阿保 斉2) 能登 啓文3) 泉 三郎1)
〒930-8550 富山県富山市西長江2-2-78 1)富山県立中央病院内科 2)同 放射線科 3)同 呼吸器外科
症例は,49歳の男性で,発熱,胸部X線写真にて複数の結節影が認められ,当科紹介された.血中PR3-ANCAは55 EUと陽性であり,左鼻腔の小ポリープの生検組織所見より,Wegener肉芽腫症と診断した.治療として,プレドニゾロン,シクロホスファミドを投与した結果,胸部X線写真上の結節影も自覚症状も速やかに改善し,1年後には両薬剤を中止した.ところが,投薬中止2年後に胸部X線写真にて結節影が出現し,Wegener肉芽腫症の再燃と診断した.この時,血中PR3-ANCAは陰性であった.プレドニゾロン,シクロホスファミドを投与した結果,胸部X線写真上の結節影は速やかに改善した.肺に病変があったWegener肉芽腫症症例治療後の経過観察には,胸部X線写真での経過観察が重要であると思われた.
Wegener肉芽腫症 抗好中球細胞質抗体 C-ANCA PR3-ANCA 再燃
Received 平成17年2月23日
日呼吸会誌, 43(9): 547-551, 2005