気管支肺胞洗浄後に急性多関節炎を発症したサルコイドーシスの1例
小野 恵美子 松野 治 広重 滋夫 竹中 隆一 伊東 猛雄 濡木 真一 上野 拓也 安東 優 宮崎 英士 熊本 俊秀
〒879-5593 大分県大分郡挟間町医大ヶ丘1-1 大分大学医学部第3内科
症例は32歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘され,当科を受診した.画像上,両側肺門縦隔リンパ節腫大を認め,血清アンギオテンシン変換酵素23.4 IU/Lと高値,さらに経気管支肺生検,肝生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めサルコイドーシスと診断した.気管支肺胞洗浄を施行した6時間後より38℃台の発熱および対称性の肩,膝,肘,手,足などに多発関節痛が出現した.特に,手関節,足関節では関節周囲の腫脹,圧痛が著明であった.骨X線でびらんはみられず,抗生剤は無効であった.非ステロイド性消炎鎮痛剤投与により約3週間で症状は消失した.以上よりサルコイドーシスに伴う急性多関節炎と診断した.本邦においてはサルコイド急性多関節炎の報告は稀である.本症例では,気管支肺胞洗浄が急性多関節炎発症の誘因となった可能性が考えられた.
サルコイドーシス サルコイド関節炎 急性発症 レフグレン症候群 多関節炎
Received 平成17年4月28日
日呼吸会誌, 43(12): 766-770, 2005