リンパ腫様肉芽腫症の発症病態の検討―Epstein-Barr virusの再活性化の関与―
鈴木 博貴 武田 博明 岸 宏幸 町田 穣 三倉 真一郎 渡邉 慶太郎
〒990-8545 山形県山形市沖町79-1 済生会山形済生病院呼吸器科
リンパ腫様肉芽腫症はその病因にEpstein-Barr virusが大きく関与していることが明らかになってきているが,Epstein-Barr virusの再活性化の関与を示唆する報告はない.患者は10年前にも不明熱の既往のある46歳男性.熱感,全身倦怠感を主訴として当科受診.胸部X線およびCTにて両肺野に多発する結節影を認め,PET/CTでは肺の多発結節影,右大腿筋,左腰部皮下にFDGの高集積を認めた.中枢神経病変の急速な進行のため,初診時から69日間で死亡した.右大腿外側広筋の筋間の腫瘍からの生検と剖検より,組織学的にリンパ腫様肉芽腫症と診断された.本症例では血清early antigen-IgGの上昇を認め,これはEpstein-Barr virusの再活性化がリンパ腫様肉芽腫症の発症に関与している可能性をはじめて示唆するものである.
Received 平成17年11月4日
日呼吸会誌, 44(7): 492-498, 2006