肺腫瘍塞栓症を初発症状とした尿路上皮癌肺転移の1例
〒550-0012 大阪市西区立売堀6-3-8 1)財団法人日本生命済生会付属日生病院総合内科 2)財団法人日本生命済生会付属日生病院外科 3)現 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター呼吸器外科
症例は64歳男性.発熱,胸痛,血痰を主訴に来院し,胸部CTで両側胸膜直下に多発性の不整形の陰影を認めて入院となった.喀痰細胞診では6回のうち1回のみclass IVが検出された.気管支肺胞洗浄液では癌細胞は検出できなかった.胸腔鏡下肺生検で転移性腫瘍による肺腫瘍塞栓症と診断された.原発巣は腹部造影CTで発見できないレベルの尿路上皮癌(腎盂癌)であった.肺腫瘍塞栓症は生前診断が困難であり,また尿路上皮癌による肺腫瘍塞栓症の報告もまれなため,その存在を認識し鑑別診断を考える上で本症例は意義深い症例であると考えられた.
肺腫瘍塞栓症 両側胸膜直下の多発性陰影 胸腔鏡下肺生検 尿路上皮癌
Received 平成17年8月22日
日呼吸会誌, 44(7): 504-510, 2006