巨大ブラを呈したCryptogenic organizing pneumoniaの1例
井上 哲郎1) 田中 栄作1) 櫻本 稔1) 水口 正義1) 前田 勇司1) 馬庭 厚1) 谷澤 公伸1) 竹田 知史1) 岡元 昌樹1) 小橋 陽一郎2) 弓場 吉哲2) 野間 恵之3) 田口 善夫1)
〒632-8552 奈良県天理市三島町200 1)天理よろづ相談所病院呼吸器内科 2)同 病理 3)同 放射線部
症例は66歳男性.発熱あり他院に入院し,右肺野に浸潤影を認めたため肺炎の診断で抗菌薬を投与されたが改善なく当院に転院した.画像上,右肺の浸潤影に接して巨大ブラを認めた.経気管支肺生検で細胞浸潤を伴う胞隔炎と器質化病変を認めた.臨床経過および病理所見からCryptogenic organizing pneumoniaと診断し副腎皮質ステロイド剤を投与したところ自覚症状および画像所見の改善がえられた.以前の画像に嚢胞性病変はなく,浸潤影に接して嚢胞が形成され急速に増大した経過から,細気管支炎領域のチェックバルブメカニズムが嚢胞形成の機序として推測された.巨大ブラを呈したCryptogenic organizing pneumoniaはまれであるため報告した.
特発性器質化肺炎 BOOP 巨大ブラ 嚢胞性変化 経気管支肺生検
Received 平成17年8月31日
日呼吸会誌, 44(7): 517-521, 2006