禁煙により嚢胞性変化のほぼ消失した肺好酸球性肉芽腫症の1例
上坂 亜由子1)3) 松田 良信1) 山口 宏茂1) 浅井 光子2) 山田 秀哉3) 福岡 和也3) 中野 孝司3)
1)宝塚市立病院呼吸器内科 2)浅井診療所 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 3)兵庫医科大学内科学呼吸器・RCU科
症例は43歳男性.23年間の喫煙歴があり咳嗽を主訴に来院した.胸部X線写真にて上肺野優位に線状網状影や輪状影を認め,胸部CTでは両側上肺野中心に粒状影,小結節影や融合傾向を示す多形性の嚢胞状陰影などを認めた.VATS(胸腔鏡下肺生検)にて肉芽腫内には好酸球の浸潤を伴いS-100蛋白陽性のLangerhans細胞の集簇を認めたことから肺好酸球性肉芽腫(PEG)と診断した.また瘢痕性の部分においてはヒトデ様の線維化巣もみられた.PEGは喫煙との関連が強く指摘され治療は禁煙を第一選択とするとされている.本症例でも直ちに禁煙を指示し,3カ月後のCTでは小結節性影の他,融合傾向を示した比較的大きな嚢胞性陰影についてもほぼ完全に消失していた.また,その後喫煙を再開されたものの肺病変に再増悪は認められなかった.
Received 平成17年10月3日
日呼吸会誌, 44(7): 528-531, 2006