インジウム肺の3例
〒317-0064 茨城県日立市神峰町2-12-8 日鉱記念病院内科
ITO(インジウム錫酸化物)は近年,液晶パネルやプラズマディスプレーパネルなどの普及に伴い,その原料として急速に需要が高まっているが,同時にインジウムの肺への健康被害が注目されている.ITO関連の事業所で産業医としてインジウムの呼吸器検診を実施し,特に肺障害の大きいと考えられた3名について報告した.本症の特徴は,従来のじん肺と異なり,数年から十数年といった短期間に比較的高度な間質性変化をもたらすのみならず,しばしば気腫性変化を伴い,時に難治性の気胸を起こす可能性がある.KL-6値は高値を示し,離職後もインジウムの血清濃度は容易に低下せず,肺病変は将来にわたって持続する可能性があり,注意深い経過観察を要する.
ITO(インジウム錫酸化物) KL-6 間質性肺疾患 職業性肺疾患 気胸
Received 平成17年10月19日
日呼吸会誌, 44(7): 532-536, 2006