マイコプラズマ肺炎90例の重症度・治療・予後に関する検討
宮原 庸介1)2) 高柳 昇1) 窪田 素子1) 原 健一郎1) 斎藤 大雄1) 徳永 大道1) 倉島 一喜1) 生方 幹夫1) 柳沢 勉1) 杉田 裕1)
〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696 1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科 〒201-8601 東京都狛江市和泉本町4-11-1 2)慈恵医大附属第三病院呼吸器内科
マイコプラズマ肺炎90例の重症度・治療・予後を検討した.男性44例,女性46例,平均年齢43.1歳,喫煙者29例,基礎疾患を有する者28例,診断は培養陽性16例,抗体価上昇71例であった.日本呼吸器学会2005年度ガイドライン重症および超重症5例(5.5%),米国胸部学会重症11例(12%),呼吸不全18例(20%),人工呼吸器管理5例(5.5%),死亡3例(3.3%)であった.初期治療薬はβ-ラクタム薬16例,抗マイコプラズマ薬73例であった.β-ラクタム薬で治療開始された16例中3例(18.8%)はそのまま治癒したが,13例(81.3%)は抗マイコプラズマ薬の投与を必要とした.死亡3例はいずれも培養検査で診断,2例は複数病原体感染であった.マイコプラズマ肺炎では5.5~23.3%は重症肺炎であった.迅速診断法または培養法を導入しないと,早期死亡例は起炎菌不明とされる可能性がある.
Received 平成18年1月10日
日呼吸会誌, 44(9): 607-612, 2006