全身性エリテマトーデスに合併したニューモシスティス肺炎の臨床的検討
田坂 定智 長谷川 直樹 山田 稚子 斎藤 史武 西村 知泰 石坂 彰敏
〒160-8582 東京都新宿区信濃町35番地 慶應義塾大学医学部呼吸器内科
全身性エリテマトーデス(SLE)患者では副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤の影響もあり,種々の日和見感染症を合併しやすい.我々はニューモシスティス肺炎(PcP)が疑われ,気管支肺胞洗浄(BAL)が施行されたSLE患者15例のうち,PcPと診断された6例とPcPが否定された9例の臨床像を比較検討した.PcP例では,非PcP例と比較して血清KL-6およびβ-D-グルカンが有意に上昇していたが,LDHには有意差がなかった.SLE活動性の指標である補体やIgGはPcPの診断の参考にならなかった.全例でBAL液中の総細胞数,リンパ球数が増加傾向にあったが,PcP例と非PcP例との間に差を認めなかった.胸部CT上のびまん性すりガラス陰影やPaO2/FiO2<200Torrの高度の酸素化障害はPcPで多く見られた.SLE患者でもβ‐D-グルカンとKL-6がPcPの診断に有用であることが示唆された.
全身性エリテマトーデス ニューモシスティス肺炎 気管支肺胞洗浄 β-D-グルカン
Received 平成18年1月13日
日呼吸会誌, 44(9): 613-619, 2006