肉芽腫内にP. acnes菌体成分を認め,肝臓・脾臓病変を伴った肺野型サルコイドーシス
太田 香織1) 横山 智央1) 阿部 哲也1) 庫川 恵理1) 朴 辰浩2) 泉 美貴3) 江石 義信4) 大屋敷 一馬1) 瀬戸口 靖弘1)
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 1)東京医科大学内科学第1講座 2)同 放射線科 3)同 病理診断学講座 4)東京医科歯科大学大学院病因・病理学分野
症例は35歳,女性.胸部X線上,両肺野に粒状影および腹部CT上,肝臓・脾臓に多発結節影,また血中ACEの上昇を認め,確定診断目的に施行した肺および肝臓の生検病理所見にて,肝臓・脾臓病変を伴った肺野型サルコイドーシスと診断した.近年,サルコイドーシスの病因として議論されているP. acnes菌感染或いは,菌体成分に対するアレルギー反応に注目し,P. acnes特異的な単クローン抗体(PAB抗体)による免疫染色を実施した結果,巨細胞内や類上皮細胞内に陽性所見を認めた.以上の結果より,サルコイドーシスの病因論を考える上で興味ある症例と考え報告した.
Received 平成17年9月28日
日呼吸会誌, 44(9): 625-630, 2006