防水スプレー吸入による急性呼吸器障害の夫婦例
小林 花神 立川 壮一 堀口 高彦 近藤 りえ子 志賀 守 廣瀬 正裕 佐々木 靖 鳥越 寛史
〒454-8509 愛知県名古屋市中川区尾頭橋3-6-10 藤田保健衛生大学第2教育病院呼吸器内科
症例は28歳男性,27歳女性の夫婦.夫は防水スプレー使用直後に喫煙し,15分後に発熱,咳嗽,呼吸困難が出現.妻は2時間後より吐気が出現.9時間後近医受診したが夫は低酸素血症認め当院紹介された.低酸素血症に加え胸部CTで両側上肺野優位に淡い肺野濃度の上昇,小葉間隔壁の肥厚を認め入院.妻は受診時症状は消失していたが,夫と同様の胸部CT像を認め入院.入院後自覚症状,低酸素血症のある夫に対してはステロイドパルス療法,酸素吸入を行い3日目には動脈血液ガス分析の正常化を認めた.妻は入院を通して症状,低酸素血症は認めなかった.両者とも入院7日目の胸部CTは改善し退院となった.夫婦にみられた防水スプレーが原因の急性呼吸器障害と考えられたが,夫は,より毒性の強い熱分解産物により,症状が重篤であったと思われた.
Received 平成17年11月11日
日呼吸会誌, 44(9): 647-652, 2006