Gefitinib単剤治療で2年以上生存した多発性脳転移のある高齢者肺腺癌の2例
松山 航 山元 滋樹 町田 健太朗 三山 英夫 渡辺 正樹 東元 一晃 納 光弘 有村 公良
〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学医学部歯学部附属病院呼吸器ストレスケアセンター呼吸器内科
症例1は78歳女性.多発脳転移を伴う肺腺癌(cT2N3M1 stage IV)と診断された.本人の希望もありGefitinib単剤投与による治療を開始,開始6カ月目には原発巣の著明な縮小と脳転移の消失を認めた.診断後2年以上経過した現在も外来通院中である.症例2は80歳女性.多発脳転移を伴う肺腺癌(cT2N3M1 stage IV)と診断された.本人の希望もありGefitinib単剤投与による治療を開始,開始6カ月目には原発巣の著明な縮小と脳転移の消失を認めた.診断後2年以上外来通院していたが,2年4カ月目に骨転移出現,2年7カ月目に死亡した.多発性脳転移を伴う非小細胞肺癌の予後は化学療法や放射線全脳照射でもその生存期間中間値は3~6カ月と極めて悪い.今回我々はGefitinib単剤治療で2年以上生存した多発性脳転移を伴う高齢の肺腺癌患者2例を経験したので報告する.
Received 平成17年11月16日
日呼吸会誌, 44(9): 653-658, 2006