インフルエンザ肺炎84例の臨床像
高柳 昇1) 原 健一郎1) 徳永 大道1) 加藤 貴子1) 金澤 實1)2) 斎藤 大雄1) 生方 幹夫1) 倉島 一喜1) 柳沢 勉1) 杉田 裕1)
〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696 1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科 2)現 埼玉医科大学呼吸器内科
インフルエンザ肺炎の臨床像・病型分類・ノイラミニダーゼ阻害薬治療成績・予後について,当院で診療した84例を対象に検討した.二次性細菌性肺炎では,先行するインフルエンザに対しノイラミニダーゼ阻害薬を投与された後の肺炎発症例を含むため,ノイラミニダーゼ阻害薬の有効性の評価対象は他の病型のみとした.A型インフルエンザ71%,B型29%,病型は原発性インフルエンザウイルス肺炎27%,ウイルス・細菌混合性肺炎38%,二次性細菌性肺炎18%,分類不能型肺炎17%であった.全体の死亡率が9.5%であり,死亡例は全例基礎疾患を有していた.65歳以下の症例が全体の39%あり,死亡8例中の3例は65歳以下であった.ノイラミニダーゼ阻害薬投与群の死亡率は4.9%,非投与群14.3%であった.症例数が少なく,非対照試験であったため,インフルエンザ肺炎に対するノイラミニダーゼ阻害薬の有効性は証明されなかった.
インフルエンザ インフルエンザ肺炎 インフルエンザ迅速診断 ノイラミニダーゼ阻害薬
Received 平成18年1月10日
日呼吸会誌, 44(10): 681-688, 2006