複数の薬剤にて重症化し,人工呼吸管理を要した薬剤性好酸球性肺炎の1例
中村 武博 川波 由紀子 吉本 美華 金子 弘史 大南 諭史 吉井 千春 城戸 優光
〒807-8555 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 産業医科大学呼吸器内科
症例は44歳の男性.入院の約3週間前から39℃の発熱,乾性咳嗽が出現し,抗生剤を自己内服したが改善せず呼吸困難も出現したため,近医受診.細菌性肺炎と診断され,各種抗生剤を投与されるも増悪し当院転院.呼吸状態は急速に悪化し第5病日に人工呼吸管理となった.TBLBで好酸球性肺炎と診断し,抗生剤を中止,ステロイドを投与したが,再び発熱や好中球優位の白血球増多を認めた.細菌性肺炎の合併も考慮し,投与歴のない抗生剤を開始したが,炎症所見はさらに増悪したため抗生剤を中止し改善.薬剤性の好酸球性肺炎にて人工呼吸を要するほど重症化し,薬剤投与中止後にも炎症所見が遷延することは稀である.経過より複数の薬剤にて次々とアレルギー反応が惹起され,好酸球性肺炎が重症化したと考えられた.
Received 平成17年8月29日
日呼吸会誌, 44(10): 695-700, 2006