乳び胸を合併した肺癌の1例
岩崎 剛雄 森 雅秀 灘波 良信 新中 学 木村 裕美 中 宣敬 岡田 達也 中川 勝 横田 総一郎 伊藤 正己
〒560-0045 大阪府豊中市刀根山5-1-1 独立行政法人国立病院機構刀根山病院呼吸器内科
症例は42歳の男性.右頸部腫脹,咳嗽,胸痛が出現し,肺扁平上皮癌(右上葉原発)と診断された.上大静脈症候群を合併しており化学療法(cisplatin+vinorelbine)と放射線治療の同時併用療法を行い部分寛解を得た.診断から1年3カ月後に,両側胸水の出現と上大静脈症候群の再発による顔面浮腫を認め再入院となる.右胸水は黄白色で,βリポタンパク959 mg/dl,中性脂肪675 mg/dlと脂質の著明な高値を認め右乳び胸と診断され,最終的にOK-432による胸膜癒着療法を行い改善した.非外傷性に乳び胸を合併した肺癌症例は比較的まれである.
Received 平成17年10月6日
日呼吸会誌, 44(10): 706-710, 2006