テフロン®加工フライパン4時間の過燃焼により生じたフューム吸入による肺水腫の1例
外山 勝弘 木村 一博 宮下 美奈穂 柳澤 里佳 中田 紘一郎
〒143-8541 東京都大田区大森西6-11-1 東邦大学大森病院呼吸器内科
症例は59歳男性.閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断で持続気道内陽圧療法が導入されていた.自宅で焼きそばを調理した後,フライパンを空焚きした状態でうたた寝したが,4時間後に刺激臭と咽頭痛が出現したため覚醒した.当院を受診し,低酸素血症および画像上Peripheral clear zoneを有する両側びまん性の肺野濃度上昇が認められ,典型的な肺水腫の所見であった.本症の特異な時間的経過とテフロン®吸入歴から,本症の成因は急性肺水腫を伴ったポリマーフューム熱と考えられた.入院後,酸素および利尿剤の投与により全身状態および画像所見は速やかに改善した.欧米の報告ではテフロン®吸入歴をもってポリマーフューム熱と診断しているが,本症の本邦での報告例はなく,貴重な症例と考え報告する.
Received 平成17年11月24日
日呼吸会誌, 44(10): 727-731, 2006