気管支喘息治療中に多彩な画像所見とCEA高値を示した好酸球性気管支細気管支炎の1例
粒来 崇博1) 河端 美則3) 釣木澤 尚実1) 三富 弘之2) 押方 智也子1) 小野 恵美子1) 大友 守1) 前田 裕二1) 谷口 正実1) 秋山 一男1)
〒228-8522 神奈川県相模原市桜台18-1 1)独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター 2)同 病理部 3)埼玉県立循環器呼吸器センター病理部
症例は50歳女性.気管支喘息経過中に末梢血好酸球増多,右中葉の無気肺と著しい血清CEA高値(102.5 ng/ml)を示した.胸腔鏡下肺生検の所見では粘液栓をともなう好酸球性気管支・細気管支炎であり,悪性疾患は否定的であった.CEAは気管支喘息発作に対するステロイド薬の全身投与により減少した.二年後胸部CTにおいて末梢性気管支拡張像,小葉中心性小結節の散在,粘液栓を認めたが,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は否定的であった.これらのことから一連の現象は好酸球性の気道炎症が起因となったと考えられ,示唆に富む症例と考えられた.
Received 平成17年12月12日
日呼吸会誌, 44(10): 742-748, 2006