頸髄損傷により増悪をきたした閉塞性睡眠時無呼吸症候群の1例
長岡 博志1) 北川 和生2) 岸 建志3) 時松 一成3) 永井 寛之3) 門田 淳一3)
〒874-0840 大分県別府市鶴見中山田1026-10 1)別府リハビリテーションセンター内科 〒870-0251 大分県大分市大在中央1-12-4 2)大在呼吸器アレルギークリニック 〒879-5593 大分県由布市挟間町医大ヶ丘1-1 3)大分大学医学部第2内科
症例は70歳男性.転倒により第4頸髄損傷を受傷し,四肢麻痺となった.急性期治療の後,リハビリテーション目的にて当院に入院となった.入院時の呼吸機能検査では対標準肺活量(%VC)58.6%と拘束性換気障害を認めた.入院後,夜間の呼吸困難感と著明な「いびき」が見られたため,簡易型終夜睡眠ポリグラフ検査を実施したところ,無呼吸低呼吸指数(AHI)46.5/hrと重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が認められた.この結果より,受傷前より存在したOSASが頸髄損傷を契機に増悪したものと推測し,呼吸リハビリテーションに加えて,経鼻的持続陽圧呼吸(NCPAP)を施行した.NCPAP導入後,速やかに臨床症状は消失し,3%酸素飽和度低下指数(ODI 3%)は導入前31.0 dips/hrに対して,14日後は3.5 dips/hr,60日後には0 dips/hrと夜間の低酸素血症も著明に改善した.
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 頸髄損傷 経鼻的持続陽圧呼吸 呼吸リハビリテーション 拘束性換気障害
Received 平成17年12月19日
日呼吸会誌, 44(10): 761-765, 2006