コエンザイムQ10の関与が疑われた薬剤性肺炎の1例
〒703-8511 岡山県岡山市赤坂本町8番10号 岡山協立病院内科
症例は61歳,女性.乾性咳嗽を主訴に受診.2カ月前よりコエンザイムQ10(CoQ10)含有健康食品サプリメントの摂取を開始していた.胸部X線写真にて左中肺野に浸潤影を認め,胸部CTでは左上葉と左下葉に境界不整な浸潤影を認め,末梢血中好酸球の増加(22.7%)を認めた.気管支肺胞洗浄液では好酸球比率30%,経気管支肺生検では肺胞壁内に多数の好酸球浸潤所見が認められた.リンパ球刺激試験ではCoQ10含有健康食品サプリメントとCoQ10成分単独の両方に陽性であった.薬剤性肺炎と診断し,プレドニゾロンの内服にて改善した.プレドニゾロンを漸減しながら約1カ月内服し現在は中断しているが再発は認められていない.自験例は臨床経過,検査所見よりCoQ10が関与した薬剤性肺炎と考えられた.近年,市場には多種多様な健康食品が氾濫しているが,安全性には十分な調査・研究がなされているとは言い難く,問診で摂取歴の聴取は大切である.
薬剤性肺炎 コエンザイムQ10 健康食品サプリメント 薬剤リンパ球刺激試験
Received 平成17年12月26日
日呼吸会誌, 44(10): 766-770, 2006