多発性薄壁空洞結節影を呈した膀胱癌肺転移の1例
高木 正道1) 斎藤 桂介1) 矢野 平一1) 田井 久量1) 秋葉 直志2)
〒277-8567 千葉県柏市柏下163-1 1)東京慈恵会医科大学附属柏病院呼吸器内科 2)同 外科
症例は71歳,男性.2003年12月に血尿を主訴として当院泌尿器科を受診した.翌2004年1月の膀胱鏡検査で膀胱腫瘍を指摘された.同年2月に経尿道的膀胱腫瘍摘出術が施行され同組織像にて膀胱癌(移行上皮癌)と診断された.同時期の胸部CT検査で両側肺野に直径5~20 mmの多発性の薄壁空洞結節影を認めた.同年3月に胸腔鏡下肺部分切除術を施行し同組織像にて膀胱癌の肺転移と診断した.膀胱癌肺転移が空洞結節影を呈することは稀であり,その正確な機序も不明である.肺野に多発する薄壁空洞結節影を認めたときには,膀胱癌の肺転移の可能性も考え精査する必要がある.
Received 平成18年1月16日
日呼吸会誌, 44(10): 771-774, 2006