シェーグレン症候群に発症したLambert-Eaton筋無力症候群合併肺癌の1例
西村 知泰 田坂 定智 山田 稚子 長谷川 直樹 副島 研造 佐山 宏一 浅野 浩一郎 石坂 彰敏
〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部呼吸器内科
症例は72歳男性,口腔内乾燥,下肢筋力低下,歩行困難を主訴に当院に入院した.口腔内乾燥,涙液減少,抗SS-B抗体陽性,唾液腺の炎症所見より,シェーグレン症候群と診断した.しかし,下肢筋力低下,歩行困難も認めたため,更に全身検索を行った.CEA,NSE,ProGRP高値,胸部レントゲン・CTで右上葉に結節影,肺門・縦隔リンパ節の腫脹を認め,気管支鏡検査の結果,肺小細胞癌と診断した.抗P/Q型電位依存性Ca2+チャネル抗体が陽性,誘発筋電図では低頻度反復刺激で複合筋活動電位の漸減を認め,高頻度反復刺激で漸減を認めず,Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)と診断した.同時放射線併用化学療法を施行し,下肢筋力低下は改善した.LEMSは悪性腫瘍の合併が多く,自己免疫異常を病態の基礎としている.本症例のLEMS発症にシェーグレン症候群と肺小細胞癌が関与していた可能性が考えられた.
肺小細胞癌 Lambert-Eaton筋無力症候群 シェーグレン症候群
Received 平成18年1月26日
日呼吸会誌, 44(10): 775-778, 2006