発症16年目に原発性空洞形成が認められたサルコイドーシスの1例
鹿間 裕介 高瀬 博康 高宮 有介 濱崎 七重 澁谷 泰弘 佐藤 庸子 栗生 和幸 神尾 義人 北見 明彦 笠原 慶太 中島 宏昭
〒224-8503 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央35-1 昭和大学横浜市北部病院呼吸器センター
症例は46歳の男性で,16年前に眼症状をきっかけにII期のサルコイドーシスと診断された.これまで呼吸器症状はなくステロイドをはじめ内科的治療は行われず経過観察されていた.今回2カ月前より咳漱出現し次第に発熱,労作時の呼吸苦を伴うようになり当科紹介となった.胸部X線写真上,肺門リンパ節腫大,両肺野の網状,粒状影に加え右上葉に空洞を伴う浸潤影が認められた.気管支鏡検査の結果,悪性腫瘍や感染症は否定的であり,空洞壁からの生検組織で非乾酪性肉芽腫が認められたので,サルコイドーシスによる原発性空洞と診断した.プレドニゾロン60 mg/日の隔日投与を開始したところ,症状はすみやかに改善した.1カ月後の胸部X線像では右上葉の陰影は改善し,また3カ月後の胸部CTでは薄壁空洞となり明らかな消退傾向が認められた.
Received 平成18年2月14日
日呼吸会誌, 44(10): 779-785, 2006