気胸治療中に明らかとなった悪性胸膜中皮腫の1例
片山 伸幸1) 徳田 麗1) 中積 泰人1) 織部 芳隆2) 藤村 政樹3)
〒921-8105 石川県金沢市平和町3丁目7番3号 1)金沢市立病院呼吸器科 2)恵寿総合病院内科 3)金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科
症例は71歳男性.外来受診時の定期検査として撮影された胸部X線写真で,胸水を伴う右の気胸を指摘された.胸腔ドレナージ後,胸腔鏡にてブラ切除術を施行されたが改善せず,胸膜癒着術が施行された.その後2度気胸を再発し,胸腔ドレナージ,胸膜癒着術が施行された.気胸は改善したが,胸水の増加,胸膜肥厚に加え,ドレナージ挿入部に一致した皮下腫瘤が出現した.胸水中のヒアルロン酸が高値を示し,皮下腫瘤の生検にて悪性胸膜中皮腫と診断した.ゲムシタビンとビノレルビンによる化学療法を行ったが効果はなかった.
Received 平成17年11月21日
日呼吸会誌, 44(11): 807-811, 2006